7月23日に構想が浮かび、2週間かけて「お互いサマー」の音楽と動画をリリースしたオレは、その後8月11日から20日にかけてSNSを使って宣伝していくことにした。
SNSの前にまず国内外のサブミッションメディアやUSEN、ラジオ局に曲を送った。日本語メインの曲なので海外はダメ元だったが、明るくポップな季節物なだけに国内サイトやラジオ曲は取り上げてくれるかもしれないと淡い期待を寄せていたがどこからも返信はなかった(2023/08/25)
「みんなのうた」的な要素がある曲だからNHKに応募しようと思ってサイトを調べたところ、公募やリクエストは受け付けてないと書かれていたので諦めた。
めんどくさいSNS
その後SNSマーケティングに取り掛かったが、SNSは2022年頭頃にめんどくさくなって全て削除していた。お世辞のイイネをしたりフォローバックするのが馬鹿らしく、拡散性のあるX(Twitter)ならまだしもインスタやTikTokでそんなことをして偽フォロワーを増やしてもまともに視聴してくれるフォロワーへのリーチが減るだけで無意味だった。同じ音楽系のアカウントを相互フォローしまくってれば音楽好きの一般ユーザーにおすすめアカウントとして表示されることはあるがとにかく無駄が多く、時間もかかる上にメンタル面にかかる負荷が尋常ではなかった。
Xの拡散性はうらやましかったが、よほど話題性を呼ぶような内容とかトレンドな内容、アドレナリンを刺激するコンテンツじゃなければ拡散されることはない。普段から多数の人間とやり取りしてRTし合ってたりすれば別だが、そういう下地づくり自体が重労働だった。
SEOとPinterest
以前の記事に書いた通り、コンテンツを作ってさらに宣伝も自分でやるのは時間が足りないし、精神的にもきつい。だからSNSは放置してYouTube広告だけ出して、あとは検索エンジン頼みにしていた。ウェブサイト(ブログ)を立ち上げ、コンテンツを増やし、動画の説明文を詳しく書いたり多言語化し、検索にかかりやすいPinterestにも動画や記事のサムネ画像を投稿した。
Pinterestに関してはGoogle検索だけでなくPinterest内でも類似画像とかでピックされる可能性があるし、投稿後すぐに流れて検索にもほとんどかからないSNSと違ってずっと検索エンジンにインデックスされ続けるから再投稿したりする必要もない。画像がメインではないブログや本などの宣伝にもおすすめの手段である。
コンテンツが増え、時間が経過したことでYouTubeもこのブログも検索エンジンからのアクセスも少しではあるが増えてきたが、やはりそれだけでは弱く、人がたくさん集まるSNSはDIYクリエイター、主にオンラインで活動してる人間にはどうしても外せない手段だった。
レーベルや出版社と契約するべきか
レコード会社や出版社と契約する場合は売り上げが差し引かれる代わりに宣伝してくれたり業界内で強力なパイプを持ってたりすることもある。「レコード会社なんてもういらない」とは10年以上前から言われてきたが、作品作りと宣伝を一人でやるのは負担がデカいため、なんだかんだ言って必要な機関ではあるのかもしれない。
オレも何度かレーベルや出版社に応募しようとしたこともあったが、人と関わるのが苦手だし、自分の意見を主張出来なくてついつい相手を優先しちゃう性分なので気が進まなかった。スケジュールを管理されたりノルマを課されるのも嫌で自分のペースでやりたかった。特に最近は気分が不安定すぎて無理だった。作品を一般受けさせるために作者の意図を変えられてしまうっていうのもよく聞く話で、そういうのも嫌だった。
今だとレーベルや出版社よりも、マーケティングのスペシャリストとか、宣伝を代わりにやってくれる専門家に委託するのもありだろうが、いずれにせよ金がかかる。
SNSの有料広告
DIYでも金があれば地道にフォロワーを増やしたりしなくてもYouTubeやその他のSNSの有料プロモーションをすればいいのだが、たいていの小規模アーティスト/クリエイターはそもそも金を稼ぐ目的も兼ねて活動してたり、他の仕事の合間に趣味と副業を兼ねてやってる人間も多いだろうし、すでにそんなに儲かってたらそんなに必死に宣伝する必要もない。
SNSよりライブ・対面営業
音楽の場合、ライブという手段があるが、人が苦手なオレには向かず、うつ病時代に全く歯を磨いてなくて歯が黄ばんでしまったのも恥ずかしくて無理だった。夜間に酒飲んでやるのならいけるかもしれないから気が向いたら挑戦しようとは思ってる。
今回宣伝しようとしていた曲は「冒険に出かけよう」とか「夏期講習」とか、小中学生向きな要素もあるからその辺のガキの前で演奏してQRコードを印刷した紙を渡して親にフォローしてもらう作戦もあり、小さいガキにならオレも心開けるしこれも気が向いたらやることにした。何はともあれSNSでちまちまやるより路上ライブや対面営業したほうが断然効果的だろう。
以上はあくまで特に派手なパフォーマンスや挑発的なこともせず、若くて見た目がいい女の子でもなく、あまり露出せずに地道に視聴者を伸ばしたい人間の話で、コンテンツ次第ではSNSでフォロー/フォローバック的な地道な作業をしなくてもTikTokやリールで一気に爆発する例も多々あるが、オレはそういう一発屋タイプや図太い人間ではないので他の手法を模索する必要があった。
アルゴリズムによって崩壊するSNS
SNSをほとんど使わなくなった後も、YouTubeのショートパンツ(Shorts)とインスタのリール、そして昔好きになれずすぐに辞めたが最近またやり始めたTikTokに毎日1本動画を投稿し、しばらくして動画を消してファイル名や説明文を変えて再投稿するということだけしばらく続けていた。
だがこれはスパム認定されてシャドーバン(通知無く軽度のBANやペナルティを受けること)されるから辞めた方がいいと言われてて、実際このやり方で再生数が伸びた試しがなく、ちょっと間を置いて投稿した時にはYouTubeと TikTokで1,000くらい伸びることはあったがそれが最大だしほんの時々で、あとは数十再生とか、ひどい場合1桁とかもザラだった。おそらく微妙にシャドーバンされてたようだ。インスタに至っては完全にゴミで、あれは普段からコメントやイイね等のエンゲージメントやアクティビティを作っておいたり、ある程度フォロワーいないとまったく誰にもリーチしないようだ。
SNS各社ともアルゴリズムを改悪し、有名人や課金ユーザーばかりプッシュするようになった今では無課金の無名アーティスト/クリエイターにとっては圧倒的なまでに非効率なツールとなってしまった。インスタにいたってはハッシュタグの検索結果ページから「最近の投稿」を削除して、「最近のトップ投稿」に変わってしまい、人気動画しか表示されなくなってしまったので誰にも発見されなくなってしまった。これでインスタは完全に見限った。
Twitter(X)もイーロン・マスクの乗っ取られて大改悪されてしまった。
結局、有料広告を出すことに
そんな状況下にあって今回「お互いサマー」をリリースしたわけだが、この曲は歌詞もメロディも覚えやすくてキャッチーな感じだし、季節物でネタ的な要素もあって拡散される可能性を秘めていたからまたSNSをやることにした。非公開で使っていたTwitterも「お互いサマー」の宣伝のために期間限定で公開運用することにした。
しかしフォロワー0人の状態で夏限定の曲を8月11日から慌てて宣伝するということ自体かなり無理があった。当然、普通にSNSに投稿するだけじゃダメだし、急ピッチでフォロワーを増やすにも時間が足りなすぎる。相変わらず行き当たりばったりで無計画な自分に悩まされる事態となった。
フォロワー0の状態で数日間で再生数を稼ぐためには有料広告を出すのは避けられなかった。
毎回作品をリリースするたびに5千円くらいはYouTube広告を出してたから今回も少しは出す予定だったが、今回は期間限定の曲だったし、チャンネル登録者とSpotifyリスナーを増やせそうな可能性がある一般ウケしそうな曲だったから少しは元が取れるかもしれないと思って多少奮発することにし、1万5千か、最悪2万近く使ってもいいということにした。今まで広告を出したことがないTwitterとTikTokの実験も兼ねて、お盆前後の約1週間広告を出した。
みだらなフォロワーを金で買うことの虚しさ
広告を見たユーザーがオレのプロフィールを見た時に「フォロワー0」だとそのまま立ち去られそうだと思ったので、他の手法である程度フォロワー数を増やす必要性を感じた。
しかし、ただのしがないシンガーソングライターが数日間でフォロワーを一気に伸ばすのは不可能に近いので、フォロワーを購入するという、かなりブラックに近いグレーな行為に走りそうになっていた。
この手のサービスについて、Redditを中心にいろいろと情報収集をしたが、サービスの内容が内容なだけに、企業レビューも不評なところばっかりで、Redditでも「嘘のフォロワーやボットのフォロワーを増やしてもすぐに視聴者にも運営側にもバレる。最悪の場合、疑わしいアカウントの一斉削除(BAN)に巻き込まれかねない。」みたいに書かれていて、頭を冷やされた。