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「女優ビッグバン」制作日誌 Day1〜2 女優の詩

2023年424日にオリジナル曲「女優ビッグバン」のYouTube動画を公開した。


ラップやファンキーなラテン要素を含んだ、アコースティックでありながらロックやダンスミュージックにも劣らないエナジーを秘めた作品となっている。


歌詞は衝動的に書き殴ったもので、性欲のせいでダメになってしまった反動からポルノ女優の死を歌った内容になっている。演技性パーソナリティじみた母やそれが遺伝した自分自身のことも歌っていて、主語や視点の定まらない詩が特徴となっている。音楽や動画の解説はYouTubeの説明欄にも書いてあるから省略し、ここではこの曲の制作に費やした3週間の記録を書いていく。


Day 1 (4/2 Sun)

この時期はAI関連の作品や本(改訂する為に削除済み)を作っていて、その後一種の燃え尽き症候群みたいになっていて、坂本龍一さんの死も重くのしかかり、ストラテラの副作用で自殺衝動が強まったりしていた。寂しすぎて性懲りも無く出会い系に手を出したりもしていた。


この日は公園で弾き語りをしたり即興曲を作っていた。人の多い公園に行くたびに家族連れやカップルに嫉妬してむしゃくしゃするオレだったがこの日は人前で歌うことも出来たし明るい性格も少し復活したのでまあまあな1日だった。(だがそんな気分は長続きはせず、数時間後には厭世的で悲観的な自分に戻る)


帰宅して酒を飲みながら人生とか性欲とかについていろいろ考えたり、出会い系に搾取されてきたことや、金を払ってる男性に少しも気を使わずにひとこと返事で返してくるクソ女共に対してむしゃくしゃしていた。(すぐにLINEに切り替えてくれる人もわずかながらいる)


人に対して久しぶりにオープンになろうと考え、行きつけの薬局の薬剤師さんに気さくに話しかけたりはしているがそれでも普通の人間を演じてるだけで、それをいちいち自己分析している自分にいつもながらうんざりしていた。


薬剤師さんや近所のコンビニのバイトの女の子に心を開ききれないのはやっぱりAVを見ながら乳首いじりオナニーをしまくってるのが気まずいっていう理由が強い。(変態な薬剤師さんも多そうだが看護師ほどではないだろう。


エロに時間と金を搾取されまくって創造性も潰されてきた悔しさや、いい歳したおっさんが乳首をいじってるのもさすがにキモめだよなあっていうのもあって最近はオナ禁に挑戦しているが、幼稚園のころから乳首をいじるのが習慣になってるからなかなか難しい。坂本さんもオナニーしまくってたのかなぁ。


性依存症に悩んできたオレは自分自身が女優になればいいんだと思って、お尻の穴をほじくったりもしてきた。戦隊モノのピンクレンジャーになりきって悪役にレプされる妄想も子供の頃よくしていたオレは常に男性役と女性役を一人二役で演じている。そこでこの曲では「オレ達」という一人称を使うことにした。


とにかく最近は性欲を無くしたい、必要以上に性欲を掻き立てる女のお尻を思いっきり蹴りたいという衝動が強い。セクシーな服装をするのは構わないが、タダでおっぱいやお尻に触らせて暴力性をなだめて貰わないと割に合わない。


この時期は(無駄にセックスシーンが多い)洋画を観まくっていて、オレには高嶺の花すぎる白人女優に性欲を掻き立てられてむしゃくしゃしていたというのがこの詩を書いたきっかけだった。


以降3週間にわたって、苛立ちや焦燥感、不安、春に特有の不安定さ、人生やり直したいという気持ちが入り混じった精神状態でこの明るく病んだブラジリアン柔術のような楽曲を制作することとなる。


Day 2 (4/3 Mon)

詩に音楽を付けるために、ギターを持って住宅地からはちょっと離れた所にある穴場的で広めの公園に出かけた。


毎週のことながら月曜は気力が湧かず、作業に着手するまでにタバコを何本も連続で吸いながらいちいち余計な心配事や考えごとに耽ったりしてる内に2時間くらい経っていた。


詩はもともと音楽の歌詞として書いた詩ではなかったため字数が多く、かなりの省略と修正が必要だった。そこで以前から挑戦したかったラップ調にすることにした。


元々オレは音楽を歌詞で聴くタイプではなく、絵や景色を見るようにメロディやリズム、グルーヴを身体全体で感じながら現実から目を背けるタイプのリスナーだった。情景が浮かぶような音楽を何より好んだ。そして独創時な音の並びにゾクゾクしたり感動するタイプの不審人物であり続けた。


だから言葉が主体のヒップホップやラップが嫌いだった。何で自分でメロディを作らないのか不思議でしょうがなかった。


オレが(理解出来ない)英語の曲ばっかり聴いたりラップが嫌いだったのは言葉のコミュニケーションに対する嫌悪感や恥ずかしさがあった。日本語は基本テキスト向きでリズム感に欠けるし、過剰な敬語に対する嫌悪感もあった。


「オルタナティブロック」という言葉があるが、オレにとってロックに限らず全ての音楽は言葉の代替手段であった。


そんなオレも歳を取り、自分の思ってることをストレートに吐き出す必要を感じていた。英語の歌から日本語の歌に回帰したというのもあって、歌詞という物に対する価値観が変わっていた。


言葉の力は時として音楽以上に強力で、人生や世界を変える力を持っている。


しかし皮肉にも音楽自体が「言葉」から派生したものであるというのが有力な説で、音楽の力を最大限に発揮させるのは結局のところ言葉なのだろう。


音楽の力に言葉の力が加わわって無敵艦隊となったオレ達はアフリカを出発し、殺戮と産業革命そしてアポロ計画を経て日本という窮屈な島国に引きこもりはじめ、犯罪者のような顔をしながらPCモニターに釘付けになって数々のゲーム音楽を排泄してきた。そして自分の言葉をボカロキャラに代弁させ、粉々に弾け、伝染する悪意に支配されながらも犬の散歩に出かけ、群がり、そして混ざり合ってきた。



混ぜるな!危険!



そんな産声を上げながら無重力空間を飛び出したべジータ伯父さんが引き起こしたビッグバンの轟音によって夢の世界から引きずり出された大魔王は時空の裂け目から顔を覗かせ、息子ダニーに呼びかける。間一髪のところで伯父に助けられ悪魔に憑かれた父ジャックを炊飯器に封印するダニー。「何故だ...この私がこんな虫ケラどもに敗れてしまうとは...い、意識が薄れてゆく……わ、私のホテルが……崩れ...ぐはっ!」(シャイニンボールIV*より抜粋) 


スティーブン・キング「シャイニング」映画版
ドアの裂け目から覗くジャック・ニコルソン

*ドラゴンボール、ドラゴンクエストIV、スティーブン・キングの小説「シャイニング」と続編「ドクター・スリープ」をミックスしたもの。


そんなふうにして大まかなメロディイメージを作り、ギターを適当に弾きながらしっくりくるコードや曲調を探していた。


最近は動画の出だしのコードを使うことが多く、今回も採用した。


ラップにする為にファンキーな感じにしようと思い、かなりありふれたギターリフを続けて詩を合わせていった。イメージが沸いてくる内に段々とやる気が出てきて集中し始めた。薬の効果もあったが、作曲に関してはギターを弾いてるうちにフロー状態に入っていくからあんまり関係なかった。


あとはいつも通り王道的で普遍的なコード進行にちょっとばかり独特な展開を織り交ぜていき、曲の基礎は30分とかからずに作り終えられた。


19歳の時から途中ブランクを挟みつつ20年間作曲をしているが、歌詞からちゃんと曲を作ったのは今回がはじめてだった。メロディから先に作るという行為は初心者の頃にやっていた。


午後は何十回も同じセクションを弾きながら詩を合わせて曲を完成させていき、歌の練習をしてる内に夕方になっていた。暖かくなってきて日没も遅くなってきたから18時くらいまで歌っていた。


夜飯は納豆ご飯で済ませた。最近は節約目的と欲望に満ちた過去への反省から、卵とネギを入れた納豆ご飯と味噌汁で済ませるパターンが多い。


そして1日も早くこの世界から離脱できることを願いながら眠りに就いた。


つづく



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